「ちょ・・・ッ混ぜすぎ!!モノには限
度ってものがあるでしょ!?」
「す、すみませ〜ん」
美空ははぁっとため息をついた。
そ
んな僕らの裏事情
そんなこんなで、総体前日。美空の家には、朝子がいた。
「こんな感じでいいかなぁ?」
「いいんじゃない?はじめてにしては上出来よ」
「わーい、美空にほめられたー!」
手放しで喜ぶ朝子に。
「アンタは一体何歳よ!?」
美空がため息をつくと、朝子が照れたような笑みを返した。・・・結局その後、叩かれたが。
「ったく、暑いわねー、この体育館」
「人多いもんねぇ」
きょろきょろとあたりを見渡す朝子に。
「こっちよ」
「あ、本当だー! ってわー、待ってよー、置いていかないでー!」
とっくにスタスタと歩き出している美空を慌てて追いかける。
「平良君!」
ブンブンッと手を振った朝子の姿を見つけた平良も、軽く手を振り返す。
「朝子。美空も」
「へぇ。私は朝子のついでってわけね・・・?」
「美空! 怖い、なんか怖いよ!?」
何にしても、半分冗談なのだが。
「はいっ差し入れ!」
朝子は鞄の中に手を入れ、ごそごそと探ってそれを取り出した。
「ありがとう」
「心配しなくても、ちゃんと食べ物だから」
にっこりと微笑む美空に、朝子は肩を落とし、平良は苦笑する。
「ありがとう」
「って、何でお礼言うのー?!」
信用されてないのかと泣きつく朝子をにっこり笑ってなだめる。
「あはは、まぁ一応」
「ひどいよー!!」
「あぁ、美空。悠輝ならそっちね」
しばらくそういうやり取りをした後、平良が美空に向かって言う。
「私は別に悠輝目当てで来たわけじゃないわよ? 朝子と違って」
「“朝子と違って”って強調しないでよー」
が、美空はまったく気にしない様子でにっこりと笑い。
「あら、アンタは平良が目的でしょ?」
「うぅ・・・」
本当のことなので、言い返すことができない。
「美空」
と、後ろからかけられた声。
「悠輝」
「来てたんだ」
「そうよ、ついさっきね」
クスクスとまだ楽しそうに笑いながら返事をする。
「悠輝くーん!美空ったらひどいんだよー!?」
「あら、何がひどいのかしら」
にっこり、と麗しい笑み。
「な、何にもひどくありませ〜ん」
内心冷や汗を流しながら、引きつった笑みを返す。他の部員達は、こんな様子はいつもの事なので大して気にしていない。
「あぁ、悠輝。コレ」
「・・・?」
「差し入れ!」
その紙袋を押し渡す。
「ありがとう」
「あ、他の人たちのもあるよー」
朝子がそう言うと。
「どうせ本命のついでだろー?」
「ついでじゃないよっ!! ねぇ、美空?」
が、美空はさらりと受け流す。
「そうね、私はね」
「えっ待って、私は?!」
「さぁ、ね?」
今日は美空の機嫌がいいらしい。楽しそうに笑う美空を見ながら、悠輝は心の中でこっそり笑った。
「まぁ、とりあえずイタダキマス」
「じゃあ、そろそろ行こうか」
「そーっすね」
「頑張ってー!」
手を振る朝子に、平良が振り返る。
「ありがとう」